噛みたろう。

未だに興奮すると噛み付いてくるたろう。

昔ほど無駄に噛み付いてくる事は減りましたが
アハハ、ウフフと気分よくじゃれ合ってると
いきなり噛んでくるので油断もスキもありません。
その都度気持ち強めに叱るのですが、
涙をたっぷり浮かべて口元をプルプルさせながら
「そんなつもりじゃなかったの」と表情で訴えてきます。
これはあれか、あら手のDVかと思うような手口ですが
まんまと許してしまう悲しき親心です。

しかしながらこの凶器を野放しにはできません。
成長とともに噛む力も格段に上がっています。
人様を傷つけるような事があってはいけません。
まだ自分では制御できないたろうに変わって
その痛みを受け止め、諭していくのが父であるぼくの責任です。

毅然とした態度で注意しなければ。
確かにたろうはスーパーかわいいです。
でも可愛いだけじゃ駄目なんです。
余談ですが昔テレビを見ていたら
同じセリフをトリンドル玲奈が言ってました。
すごく重みを感じました。
芸能界は本当に大変なんでしょう。
辛くなったら相談に乗るのでいつでも連絡ください。

そんな事を考えていたある日、
注意してもしつこく
噛み付いてくる時がありました。
特に最近は寝かしつけの際に
噛み付いてくる事が多くなっています。
「噛んじゃダメ!」と注意していましたが
これは埒が明かないと思い、
だいぶ大きな声で怒鳴りました。

するとどうでしょう。
ワニワニパニックの
「もう怒ったぞー!」
10倍位のテンションで
怒られたにも関わらず
たろうは笑っているのです。

ぼくの中のカイジがつぶやきます。
『狂ってやがる・・・!』

たろうの中に潜んでいる
サイコパスが覚醒しだしたのか・・・?
不安な気持ちになりながらも
あまり構いすぎると
逆効果な気がしたので
少し素っ気ない態度を取りながら
この日は就寝しました。

そして翌日。
さあ、ねんねだよーと
布団に入るとまた噛み付いてくるたろう。
うんざりしながらも先日と同様に
強めに怒鳴りつけると
なんと、噛むのをやめたのです。

いや、正確には
口を開いて噛み付いているように
感じたのですが
噛む直前で寸止めしていました。

大きく開いたたろうの口が
ぼくの腕にぴったりとくっついています。
「ハァァ・・・
ハァァァ・・・」

からみつくような
生暖かいたろうの吐息が
密着した腕と口の間の
僅かな隙間から漏れ出ています。
あと少し顎に力をいれれば
ぼくの白魚のような柔肌を
噛みちぎれるという状況ですが
口を開いたまま停止しているのです。

耐えている・・・?!
たろうは耐えている・・・!!

稀血を目前にしても
耐えきった禰豆子のように
たろうも耐えていたのです。

ぼくは感動しました。
そして怒鳴った自分が恥ずかしくなりました。

ちゃんと目を見て
「オマエカム、オレイタイ」
と教えてあげれば
たろうは理解できていたかもしれません。
でも、どうせ赤子のたろうには
伝わらないだろうと決めつけて
怒鳴ってしまった・・・。

感情的にならず、
力で抑圧するのではなく、
なぜそれをやってはいけないのかを
冷静に説明するべきだと
反省しました。

ごめんよ。たろう。
今度からはちゃんと
感情的にならずに
伝えるからね。

でも・・・

股間にロックオンされた時
さすがに感情的(防衛本能的)に
反応するからな!!

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